●●● 新会社法とは ●●●
平成18年4月より、新「会社法」が施行される予定です。
現在、株式会社を設立するには「商法」という法律に、有限会社を設立するには「有限会社法」という法律に従って設立手続きを進めるなどバラバラだったのですが、各法規が一本化され「会社法」として制定されます。
今月は、中小企業にとって影響が大きい新会社法の概要を紹介いたします。
                  
1.会社の形態
◎有限会社制度の廃止
今回の改正に伴い有限会社法が廃止され、新法施行後は有限会社を新たに設立することはできなくなります。しかし、現存する有限会社については、そのまま有限会社を名乗り、特例有限会社として存続できる経過措置が設けられます。また、株式会社に移行することもなんら差し支えありません。
◎合同会社(日本版LLC)の新設
合名会社や合資会社は従来どおり設立できます。新たに合同会社が新設されました。
2.会社の設立手続きが簡素化される
◎最低資本金規制の廃止
現行制度での株式会社1,000万円・有限会社300万円の最低資本金要件が撤廃されます。
現在、時限的に一定の条件のもとで、最低資本金規制を受けず1円でも株式会社、有限会社を作ることができましたが、この時限立法が廃止され、これによって設立された会社(確認会社)はそのまま存続できます。
◎類似商号の規制が撤廃
現行商法では、同一市町村において同一の営業目的で同一あるいは類似した商号は登記できないとの規制が撤廃されます。
3.取締役・監査役等の機関設計が柔軟化
◎取締役員数・任期の要件を緩和
現行法では取締役の人数を最低3人以上必要としてきましたが、「株式譲渡制限会社」(⇒株式を譲渡するには会社の承認が必要であることを定款で定めてある会社)については取締役は最低1人でもよいことになりました。
また、「株式譲渡制限会社」の場合、取締役会の設置が任意になります。
任期についても、従来は取締役2年、監査役4年でしたが、定款で定めればそれぞれ最長10年まで延ばせることになりました。
4.会計参与制度が創設
会社の運営機関に「会計参与」を定款の変更で設置できることが可能になります。会計参与になれるのは、会計に関して専門的識見をもつ税理士、公認会計士です。専門家が計算書類の作成に関与することによって、中小企業の計算書類の信頼性が向上することを目指して創設されるものであります。
5.その他の改正事項
◎商法の総則と新「会社法」の双方に、「商人は、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表)を作成しなければならない」と明文化されました。
◎株券は原則不発行となり、定款に定めがある場合のみ発行できることとされます。また、「株式譲渡制限会社」においては、定款に株券発行を定めていても、株主から請求があるまでは、株券を発行しなくてもよいことになります。
◎定款で定めれば相続等による株式移転についても「会社の承認」が必要と定めることができるようになりました。
◎「株式譲渡制限会社」において、議決権制限株式の発行上限は2分の1との規制がありましたが、これが撤廃されました。
◎株主に対する剰余金分配を株主総会の決議でできるようになります。
ただし、純資産が300万円未満の場合は、分配はできません。
 

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